「うー体が重い気がするー……」





キャリーケースを引きずりながら見慣れた道を歩いていく。


一週間ぶりの地元。

東京の街も良かったけどやっぱ地元が一番落ち着く。



夜の寒い中マフラーに顔を埋める。





(この一週間で絶対に太った)




そう思って服の上からお腹を触るとちょっとぽっこりしている。



なんせなつきさんが毎日毎日大量の料理を作って食べさせてくれるからだ。

断るにも断れず、クリスマスは大量のケーキも食べてしまったからもう体重の増加は決定だ。

それに受験生だから体は動かさない。
長時間座って動かすのは脳みそだけという、ダイエット中の乙女には酷な状況だ。



受験が終わったら絶対にダイエットしよう。

心の中で堅く誓う。






――――でも心は軽くなった。




ガリガリ勉強して、ただ志望校のことを考えて、なつきさんやコウくん、洋介さんと話していたら風太のことを少しは忘れられたと思う。



デトックス出来たかな。ちゃんと。



今日まで風太のことを思い出す度にデトックス、デトックスと繰り返してきた。



ふふふ、風太菌は去るのよ~~



なんてちょっと風太には悪いことを考えながら。





この角を曲がればすぐそこに私の家がある。


隣の家は風太の家だから風太の家を見ずには家に帰れない。

けどなるべく見ないように頑張ろう。