だけどそれはあまりにも突然だった。





「彼氏にバレたの。だから別れてほしい」




夜、鵜野山先生から電話がかかってきて第一声にそう言われた。



どうやら彼氏の会社の人に鵜野山先生と俺が夜にホテル街で歩いているところをたまたま見られたらしい。

幸い俺の顔は見ていなくて、鵜野山先生の相手が学校の生徒だってことはバレなかった。



でも彼氏にバレたなら仕方ない。

どうせ俺は鵜野山先生の都合の良い居場所なのだから。




「分かった」





何の抵抗もなく、別れを遂げた。







次の日、俺は学校を休んだ。


ガラにもなく落ち込んでいるのか、学校に行く気になれなかった。


ただ、ぼー、と一日を過ごした。





夜、ベランダに出て上を見ると夜空が広がっていた。



都会でもなく田舎過ぎるところでもないから微妙に星が散らばっていたけど、全く見えないわけじゃない。




空を見ると不思議と鵜野山先生を思い出す。


きっと電話で鵜野山先生と話すときは必ずと言っていいほど空を見上げながら話していた。

鵜野山先生は空が好きだから、よく空を見てみてと言われることが多かったからかもしれない。




……俺はちゃんと鵜野山先生の居場所になれていたのだろうか。


夜空を見上げ、そう思う。



結局、鵜野山先生の口から相談のことなど一回も言われたことが無い。
それに俺に涙を見せたことが無い。


俺は相談を要求することも出来なかったし、泣いていいなんて言ったりすることも出来なかった。


だだ俺に出来ることは鵜野山先生と話をすることと、抱くこと。


この二つだけだった。