生まれつき、風太は笑うとえくぼが出来る男の子だった。
そのえくぼが見たくて、よくくすぐったりして笑わせてたな。
今はもうくすぐったりしないけど、たまに見るえくぼを見ると安心感があったし、胸がキュンと疼く。
昔はえくぼを見てもあ!えくぼだ!くらいにしか思えなかったけど。
あの時あのえくぼを一人占めしていのは私。
でも今は………
「う~さーむーいー」
ジャージのファスナーを全閉めして手をポケットに突っ込みグラウンドに出る。
「確かに寒いけどさ、それは女としてないんじゃない?」
「そ、そお?」
横目で私を見る友人、夏葉(なつは)。
そんな夏葉はジャージのファスナーは全開。
見るからに寒そう。いや絶対寒い。
「さ、寒くないの?」
「んーあんまり?だって私ヒートテック着てるし」
ひっ、ヒートテック!!
その手があったか!
だからファスナー全開でも大丈夫なのね!
見習います!
「だってファスナー全閉めとかダサいからしたくないんだもん。冬だからって気は抜かない」
「さ、さすがです…」
そういう夏葉は美人で背が高く、スタイルもいい。その上頭もいい。性格は姉御肌で面倒見も良く、優しい。
まさにこういう人を容姿端麗と言うのだろう。
神様は不平等すぎる。
平々凡々の私にもどこか分け与えて欲しい。