「ただ当たっただけなら打撲で済みそうね」
「あ、はい」
クラスの男子が綺麗だ綺麗だと騒いでいる鵜野山先生は、冷凍庫から氷を出して袋に入れた物を俺に渡す。
「それにしてもバレーの支柱が当たるなんて危ないわね。普通だったら骨にヒビが入ってても可笑しくないわよ。今回は軽くで良かったけど」
「これから気をつけます」
確かにあの重すぎる支柱が普通に当たってたら危なかった。
けど、今回は他の人が支柱を運ぼうとしていることに気づかずに支柱の近くにいて、軽く当たってしまっただけだ。
もし支柱が足に落ちていたら確実に骨折ものだったけど。
手当てされたということで保健室の名簿に名前とクラス、怪我の内容、手当ての内容を書く。
鵜野山先生は俺が書き終わった名簿を見る。
名簿を見ている鵜野山先生は長袖に長ズボン。
この時期一番の暑さの今日なのに絶対に暑い恰好をしている。
ふと、なんでそんな恰好をしているのか聞いてみたくなった。
「鵜野山先生は、暑くないんですか?」
「何で?」
俺が座っている椅子よりも少し離れた正面で鵜野山先生は脚を組みながら俺に問う。
「だって暑そうな恰好してるじゃないてすか」
暑そうっていうか絶対暑い。
俺なんか体操服のまま半袖半ズボンなのに暑い。
長袖なんて着たら即刻で袖を捲る。