小さい頃から朱里が好きだった。






今思えば小さい頃は、物心がついた時から朱里といて、家族みたいな‘好き’の方が強かったかもしれない。


でも学年が上がるにつれ、女の子から女子にになっていく朱里にドキドキせずにはいられなかった。



幾度か告白しようと思ったこともあった。



だけど朱里は俺のことをそういう目で見たことがないのを知っていたし、朱里は俺以外の男を好きになっていた。



だから告白は結局しないまま、ホイホイ釣られる朱里じゃない女子と付き合って、別れてを繰り返して生きてきた。

別に遊んでいるわけじゃない。

相手の女子だってタイプじゃなきゃ付き合わないし、付き合ってた時はその女子のことをどーでもいいと思ってたわけじゃない。


ただ朱里じゃない人とずっと付き合おうとは思っていなかっただけだ。



………いや、ずっと付き合おうと思って無かったなら、遊びなるのか?




いまいちそこらへんはよく分からないけど、思えば当時の女子には悪いことしたと思う。


どの女子もすぐ縛りつけようとするのは嫌だったけど。





そんな、朱里が好きなままだったある日、あの人と会ってしまった。





それは高校一年の梅雨時だけど珍しく晴れて暑い日のこと。


その日俺は体育で使ったバレー支柱が脚に当たってしまい、保健室に行った。