「は?」
風太は状況が掴めずにただ戸惑っていた。
でも私は引かない。
この決心は絶対に無しにはしない。
「風太はまだ鵜野山先生のことが好きでしょう?それなのに私と付き合うのは可笑しいから」
「何で鵜野山先生?今はちゃんと朱里のことが好きだって」
私を好きだと言ってくれる風太。
本当はその言葉に喜びたいけど、今はもう出来ない。
「でも風太の心はまだ鵜野山先生にある」
「ない」
まっすぐ私を見つめて、本当にない、と訴えかける。
風太の目に少したじろぎそうになるけど、今日の私は絶対に逃げない。
「なら、どうして空を見るとき悲しい顔をするの?鵜野山先生を思い出しているから?」
そう私が言った時、風太の目が揺れた。
きっと図星なんだ。
「それは……」
黙りこんでしまう風太。
やっぱり風太は空を見るとき、鵜野山先生を思い出していた。
悲しい顔もきっと鵜野山先生を想ってのこと。
それにあの顔は風太はまだ鵜野山先生が好きだって証。
その時、風太のポケットに入っていたケータイが震えた。
風太はケータイを取り出して相手を確認する。
震えは長いからきっと電話だ。

