何度も何度も止めようとしたけど、やっぱり風太の気持ちを優先しなきゃって思って決心したのに。
最後の二人での帰り道かもしれないのに。
幾度となくボーッとしてしまう。
「朱里どうかした?昨日もいつの間に一人で先にか帰ってたし、今日も今日でなんか可笑しいし…」
「ご、ごめん」
昨日はなんとなく風太と会うことに気が引けて一人で先に帰ってしまった。
塾が終わった後、ちゃんと謝罪メッセは送ったけど…
「勉強のし過ぎなんじゃない?朱里は元からそんなに脳に入る量が多くないんだからキャパオーバーしてるんだよ」
「な、なにそれ!私のこと貶してるでしょ」
「ん?そういう風に聞こえた?」
「聞こえた!」
まじか~と笑っている風太。
たぶん私を元気づけようとわざと意地悪なことを言ったんだと思う。
だけどもっと優しく元気づけてほしい。
確かに勉強のことや色んなことでキャパオーバーはしているけれども。
でも、なんだか勇気が出てきた。
風太に言う勇気が。
「風太」
駅から離れて住宅街に入った頃、私はその場に立ち止まった。
急に立ち止まった私に少し驚きながらも、風太もその場に立ち止まる。
「朱里?どうした?」
優しく聞いてくれる風太。
そんな優しい風太が大好きだ。
でもその優しさにずっと浸かってるわけにもいかない。
ちゃんと言おう。
「別れよう」
風太のためにも、別れる。
そう決心した。

