ノックをした子と入れ違いに保健室を出る。
後ろからパタンとドアが閉まった音がした。
――――私はどうすればいいのだろう。
正直鵜野山先生のことは大人気ないと思った。
けどあの人はそれほど風太のことが好きで手に入れたいんだ。
私だって風太が好き。
今まで鵜野山先生と風太を黙って見ていたけれど、今は誰が言おうと私は風太の彼女だ。
それに風太は私のことを好きだって………
その時、空を見上げる風太が脳裏をかすめた。
少し悲しそうな、横顔。
きっとあの横顔は私を思っているのではない。
……私は風太のことが好きだ。
だけれど、風太が私と本当に同じ気持ちでないなら?
まだあの人を忘れられないなら?
それならば、私がすることは決まっている。
――――――――……
「朱里?」
帰り道、地元の駅に着き、改札を出た時に風太が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
……いけない。ボーッとしてた。

