鵜野山先生は組んでいた脚をほどいて、スッと立ち上がった。
鵜野山先生の方が断然高いから私は鵜野山先生のことを見上げるような形になる。
第三者から見たら完全に私が惨めに見えると思う。
背も高くて綺麗な鵜野山先生と、普通すぎる私だから。
鵜野山先生の目が私を捕らえて離さない。
その目に怯みそうになるけど、グッと我慢する。
「私ね、福井くんと……風太くんと付き合っていたの」
綺麗に口紅で塗られた唇が動く。
その口元ですら魅せられるほど綺麗。
「あら、驚かないのね。なら風太くんから聞いてるのかしら」
「……」
「黙っているってことは肯定なのね?まあいいわ。事情も知っているようだし、話が早いから」
ニッと笑った鵜野山先生はまるで獲物を見つけた肉食動物のよう。
ならば私は見つけられた草食動物だ。
一歩、鵜野山先生が私へ近づく。
思わず私も一歩、鵜野山先生から遠ざかる。
「私、彼氏と別れたの」
………え?
暴力を振るわれていても別れなかったのに?
親のために結婚までしようとしていたのに?
大人の考えが分からない。
なんで今更別れたの?
「何故だか分からないって顔してるわね」
ふふと笑った鵜野山先生。
鵜野山先生はまるで今の状況を楽しんでいるようにも思えた。
………まあ鵜野山先生の方が立場が上だから当たり前だ。

