「…は、い」
そこでとっさに嘘をつける程余裕もなくて正直に答えてしまった。
「そう…」
鵜野山先生は少し考えるように顎を手で支える。
私はこれから何を言われるのだろう。
これから起こることを予測出来ずに私はただ冷や汗をかくしかなかった。
けど言われるとしたらきっと風太のことだろう。
鵜野山先生は脚を組み変えて、両手を脚の上に置く。
手もスラッとしていて、傷一つない。
彼氏に暴力を振るわれているとは到底思えない。
上は首が隠れる位までのセーターに、下はスキニージーンズ。
その服の下に本当にキズがあるのだろうか。
「あなたは福井くんと付き合ってるわよね?」
肯定から始まった質問。
私と風太が付き合っていることを知っているらしい。
一緒に帰っているところを見たのか、それとも噂とかを耳にしたのか。
どちらにせよ証拠があるのなら嘘はつけない。
「そうです」
そう答えた時、鵜野山先生の目つきが少し鋭くなった気がした。
「分かったわ」
何が分かったのか、私にはさっぱり分からない。