時計を見るとSHLまで時間はある。
先生に頼まれた物、届けに行こう…
届け先は、なんだか行きづらい保健室。
はあ。なんで今日、私は日直なんだろうう。
たまたま今日日直だった私は先生に保健室に届けるよう、書類を頼まれた。
保健室には鵜野山先生がいるから行きづらい。
別にもう風太と鵜野山先生は別れたから、前に見た光景を見ることは無いのだけれど、保健室の前を通る度に思い出してしまうから。
きっと保健室に行ったら、思い出さずにはいられないよね…
憂鬱な足どりであっという間に保健室へ着いてしまった。
どうか鵜野山先生がいませんように!
僅かな期待を持ってドアをノックする。
「はい、どうぞ」
すぐに聞こえてきた声。
私の願いはどうやら届かなかったらしい。
引き返すことも出来ずにドアを開ける。
鵜野山先生は保健室にある、デスクの前の椅子に綺麗な脚を組んで座っていた。
今日も全体的に綺麗。
「書類を届けに来ました」
書類を鵜野山先生のもとへ届ける。
すんなり渡し終えると、鵜野山先生は軽くありがとうと言う。
……ミッション成功?
とりあえず頼まれごとは終わったから直ぐに保健室を出ようと、鵜野山先生に背を向けた時だった。
「あなた……都中朱里さん?」
鵜野山先生が私の名前を、呼んだ。
振り向くと、綺麗な二重瞼の目に捕らわれる。