どどどどうしよう。
手汗かいてないかな。
かいてたら一生の恥なんだけど。
手汗ってどうしたら止まるかな。
繋がれた右手だけに異常に神経を集中させすぎて、何度か足が覚束なくなる。
それに風太と今までいた中で、きっと最上級に緊張してると思う。
いや、してる。
…そうだ、会話をしたらほぐれるかもしれない。
「ど、どこ行くの?」
「ん?んー分かんない。ただゆっくり一緒に過ごせたらな、と思って」
てっきりちゃんと計画してるのかと思ったら、意外に無計画で拍子抜く。
けど、それも一緒に過ごせたらに全て持っていかれたけど。
そして頬が緩む。
私ばかりが風太のことが好きで一緒にいたいと思ってたから、本当に嬉しかった。
もう少し歩き続けると懐かしい公園が視界に入る。
風太も同じように思ったのか、二人して公園を見つめていた。
「入る?」
風太が私に聞く。
「うん。入りたい」
もう5年以上来ていなかった公園に入る。
遊具は当時の私には大きかったけど、今の私にとっては全部小さく思える。
自然とベンチに二人で座る。
「懐かしいね。小学生の頃はほぼ毎日来てたっけ」
「ああ。朱里が行こう行こうってうるさかったしね」
「そ、そうだっけ」
いまいちよく覚えてなかったけど、ただこの公園が好きだったのかもしれない。当時の私は。
公園に行くと誰がいて、一緒にたくさん遊べたから。

