「朱里のこと待ってた」
「な、なんで?」
まさか私のことを待ってるなんて。
高校に入ってからこんなこと無かったからビックリだ。
「なんでって、そりゃあ彼氏だから」
‘彼氏’
その言葉が私を舞い上がらせる。
夢じゃない。
本当に付き合ってるんだ。
思わず緩んでしまう頬を正常にしようと押さえる。
…だめだ、ニタニタしてしまう。
「それとも待ってほしくなかった?」
「ない!それはない!」
ぶんぶん顔を横に振る。
首がもぎ取れそうになるぐらい。
そんな私を見て風太が笑う。
えくぼもご健在でなんだか嬉しくなった。
「じゃあ行こう」
「うん」
二人で廊下を歩く。
もちろん私は風太の隣で。

