(あ、これ……)
机の中を探ってると、前に風太から借りた教科書を見つけた。
私まだ返してなかったんだ。
どうしよう。もうすぐテストだしすぐに返した方がいいよね。
教科書を返そうと席から立ち上がる。
―――あの日、頭痛が起きた日、結局私は早退した。
保健室には寄らず、すぐに家に帰った。
早く寝て頭痛を治して、同時に嫌な気持ちも払拭させたかったから。
それに寝たら体調も気持ちも大分良くなったし。
風太のクラスに着き、たまたま風太と同じクラスの元同じ中学の子が近くを通りかかる。
「みきちゃん」
「あ、朱里ちゃんだー!久しぶりー」
「うん久しぶり。あのさ、風太いる?」
なんとなく他クラスで風太ー!って呼びかけるのも気が引けたから、みきちゃんに頼んでみる。
みきちゃんがたまたまた近くにいて良かった…
「福井くん?福井くんなら今日来てないよ
」
「え?」
風太、今日来てないんだ。珍しい。
だるいーとか言って何だかんだ学校にちゃんと来てるのに。
「学校一緒に来てるんじゃないの?」
みきちゃんは不思議そうに私に聞く。
同じ中学の人は私と風太が隣の家同士で幼なじみなことを知っている。
それに中学の頃はよく一緒に行ってたし。
「一緒には来てないよ。私の方が来るの早いんだ」
「そっかあ」