その日、家まで一緒に帰った。
帰り際、私の肩はあまり濡れてなくて、風太の肩がびしょ濡れなのに気が付く。
きっと私の方に傘を寄せてくれてるからなんだ。
何も言わない、その優しさに心がキュンときた。
その日から私は風太の事を意識し始めた。
今まで小さい頃から一緒だったのに、今更、なんだけどね。
けど、それから数日後、風太から報告があった。
“鵜野山先生と付き合い始めた”
そう、彼は言ったのだ。
最初風太は朱里にだけ話すんだけどって言って、‘私だけ’の特別感に舞い上がらせた。
次に風太が言った言葉を聞いてもちろん落ち込んだけど。
まさか、風太が先生と付き合うなんて思ってもみなかったのと、相手が‘鵜野山先生’だということのダブルパンチ。
だって鵜野山先生に勝てるわけないから。
ライバルになる資格すらない。
だから風太への恋はそこで終えるつもりだった。
のに。
気持ちは萎むばかりか、膨れ上がる一方。
ダメだ、ってストップかけてもどんどんどんどん大きくなる。
そしてそんなこんなで今の今まできてしまった。