わ、若者のノリがよくわからん…
「逆に入っていいんですか」
「濡れて帰りますか?」
「そ、それは…」
「まあ俺のファンに文句言われてもいいならどうぞ」
「自惚れんなバーカ」
あ、でもそれはちょっと怖いかも。
うーんまあ私と風太はただの幼なじみだし。なんと言われようが否定出来るしね。
「……じゃあ失礼します」
いそいそと風太の隣に行く。
風太の香りがふわりとした気がした。
「よし。じゃあ行きますか」
そのまま風太が傘を持って進もうとしたけど、私はそれを止める。
「傘、私持つよ。入れてくれてるし」
「俺の方が背が高いから俺が持った方が効率的でしょ。それに俺の傘だから自分で持つ」
「うん…」
確かに風太は私より顔一つ分以上高い。
いつの間にそんな伸びたんだろうってぐらい。
「朱里は黙って入ればいいの」
開いていた手のほうで額にデコピンされると、ゆっくり歩き出す。
しばらく歩いて隣をちらりと見ると骨ばった腕が目に入る。
……風太の腕ってこんなに男だったけ。
それに細いのになんとなく体格も逞しくなったていうか。
「ん?なに?」
「いや、なんでも」
見てたことを気づかれたくなくて、思わず否定する。

