『幼なじみとは付き合わない方がいいよ』
中3の時通ってた塾の先生が言っていた。
何でも、その先生は学生の頃に幼なじみと付き合って別れて、その幼なじみと会う度気まずいらしい。
家が近いから嫌でも会っちゃうから。
当時の私はその言葉をすんなり受け入れた。
そっかぁって。
でも高校3年生になった今、その言葉に頷けない。
だって何で‘別れる’前提なの?
もし別れたらのことも考えて恋愛しなきゃいけないの?
大人ってそんなことまで考えなきゃダメなのかな。
暗く染まった空を見上げて思った。
はあ。と息を吐く度に白くなる。
思わずぐるぐるに巻いたマフラーに顔を埋める。
沢山の参考書が入ったバッグが重い。
………ってなんで中学生と時の事思い出してるんだろ。
あれかな、今日帰ってきた最後の模試がそこそこだったからかな。
もうちょっと良いと思ってたから。
季節は冬。12月。
受験が刻々と近づいてきた。
それなのに最近はいまいち調子が乗らない。
これがスランプってやつかな。
あーあ。受験嫌だなあ。
でも大学生になれないのはもっと嫌だ。
塾帰り、憂鬱な気分で帰路につく。
家の前まで着き、柵を開けようとしてふと声が聞こえたから顔を上げた。
そこにいたのは先に大学生行きが決まった幼なじみだった。