先輩、私の小説を読んで、感動してくれたなんて・・・・
他の誰に評価されるより、嬉しいかもしれません!
「でも・・これ・・・」
「・・・え?」
「この・・・してる、とこ・・・リアリティーがない、かも・・・その・・キスシーンとか、それ以上のとこ、とか」
それは、私も経験がないから、うまく表現ができなかった。
想像して、書くしかなかったから・・・でも
もう、先輩に読んでもらえたというだけで満足です。
「私、もう、小説書くの、やめようと思ってるんです」
「え・・・なんで」
「先輩と話すようになって、自分が情けなくなったんです、だから」
「それって、俺の、せい?」
不安そうに、私を見つめる瞳はまだ、涙で潤んでいる。
私は先輩の髪に触れて、そして、違いますよ、と微笑んだ。
「先輩のお陰で、BLに逃げずに、現実と向き合おうって、思えるようになったんです」
私の言葉に戸惑う先輩に向けて、ありがとうございます、と頭を下げる。
先輩は、強い人だ。
私なんかよりずっと、現実から目を反らさずに、立ち向かってる。
「私、先輩のことが、好きです」

