先輩は青白い顔で、まるで捨て猫みたいに小さく震えていた。 雨に濡れていても分かる。 先輩、泣いてます。 「紺野先輩!大丈夫ですか?取り敢えず、保健室に行きますよ!」 必死で張り上げた声も、雨音にかき消されてしまう。 先輩は、びしょびしょの顔をびしょびしょの手で押さえたまま、反応を示さない。 腕を肩に担いだまま、屋根のある場所まで移動する。 今は、回りの目も気にならない。