殴られる?


もしくは蹴られる?


それとも頭突き?


色んな可能性を考えて、歯を食いしばってみたけれど、案外簡単に、紺野先輩の手はするりと私の腕から離れた。


そのまま先輩は、拳を作ることもなく、二三歩後ろに下がり、力なく崩れ落ちる。




「せ・・・せんぱい?」


「さいあくだ・・・」


「大丈夫ですか?」


「く、来んな!」



私が近付くと先輩は、背中に壁がつくまで後退りした。


先輩・・・涙目だ・・・



「女子に知られたってことは、言い触らされるだろ。そんで問題になって先生が学校クビになったら俺、先生に合わす顔ない!嫌われる!いやだ!そんなの!死んだほうがましだ・・・・」



小型犬みたいに(見た目は黒猫だけど)目を潤ませ、体を震わせて泣き出す先輩。


もう、



なんだってこんなに、



可愛いんですか・・・!!!