先日の一件で彼…真崎さんにドキドキしたのは、事実。

けれど仕事のこととなればそれとこれは別。
仕事の話、企画の話。その面では相変わらずこの人は私のライバルだ



(また負けた…今回の企画もここ何日か夜通し考えたのに!!)



「お前考えられる頭はあるんだから、状況や時期にもっと深く頭捻らせてみろ」

「深く考える時間がないんですよ…今回のだって仕事のあと残業して家帰ってから考えてるんですから!」

「ほー…じゃあデザイン考える暇もないな?残念だなー、新色のリップのデザインはお前に任せてやろうと思ったのになー」

「!?本当ですか!?」

「まぁ、たまにはな」



いつもなら商品を企画したらデザインから何まで全て第一商品部でやる、と言い切る彼からの珍しい提案に驚きと喜びで顔を上げた。

そんな私に、彼はふっと笑って書類を手渡す。