「褒めてもらえて光栄ですけど、これうちの連れなんでね。失礼します」

「へ?あっ、真崎さ…」

「行くぞ」



そして席を離れるように肩を抱いたままスタスタと歩き出した。



(真崎さん、なんで…)



問いかける暇もなく、引っ張るように歩いて行く足。

すると席へ戻る途中にあったお店の出入り口に置かれたベンチ前で、彼は足を止め私の肩から手を離した。



「あの、真崎さん…」

「さっき和泉が言ってた通り、タチ悪い酔っ払いどもだったな。何かされたりしてないか?」

「あ…はい。少し足触られたくらいで」

「…そこで胸でも尻でもなく足ってところが切ないな」

「なっ!」



悪かったですね、目につくようなところが足しかなくて!

失礼なその言い方にカチンときながらも、私は言い返す言葉を飲み込む。