「奥谷」 「?はい?」 「似合ってるよ、そっちの方が」 「……」 窓から差し込む光の中、笑うその顔 優しい瞳 その表情につられるように、こぼれた笑み 「ありがとう、ございます」 幸せなんて、恋なんて、男なんて そう諦めばかりの日々 その気持ちは相変わらずこの心を重くするけれど 一言と笑顔が、嬉しいって感じた そんな、ある日の朝だった