「自分の可能性をひとつ知れば、人の為の可能性も自然と思いつくようになっていく。結果、商品の為になっていく」
「……」
自分の可能性
そこから知る、人の為の可能性
似合わないと諦めていた私に
そのためにわざわざ、こうして?
「あと、これも」
「?」
そう彼が触れるのは、ヘアクリップで止めていた私の長い前髪。
いつも前髪を耳にかけ額を出している私に、その手はヘアピンを外しそっと毛先を撫でる。
「長さ切って前髪作った方が可愛いぞ」
「そう…ですか?」
「あぁ。俺が言うんだから間違いない」
「……」
その自信は一体どこからわくのか、彼は誇らしげに笑う。
私が分かっていないことも全て分かり切っているような、見透かしたその顔が少し悔しい。
けどやっぱりすごいと思った
彼の指先が、言葉が
こうして人ひとりの心を変える
この人は 魔法使いだ



