「すみません、いきなり泣き出したりして…」
「ううん、いいよ。折角だしこのまま家まで送るよ」
「いえ…大丈夫です」
「そうはいかないでしょ…あ、でもいらないかな」
「え?」
すると浅田さんが何かに気づいたように私の背後に目をとめる。どうしたんだろう、そう問いかけようとした瞬間何者かに肩をガシッ!!と掴まれた。
「…?」
「っ…」
何事かと横を見ればそこには、額に汗を滲ませ、息を切らせた真崎さんの姿。
「真崎、さん…?」
「っ…浅田、お前っ…」
「まぁまぁ、そんな怖い顔しないの。心配しなくても何もしてないよ」
「…、」
浅田さんが目に止めたのは真崎さんの姿だったらしく、息をあげ睨む彼に浅田さんは苦笑いをして私の頭から手を離す。
「っ…来い!奥谷!」
「へ?えっ、待っ…真崎さん!?」
そして真崎さんはそのまま私の腕を引っ張り歩き出す。戸惑いながら振り向くと、背後では浅田さんが笑って手を振っていた。



