「…そんな想像は不要だと思うんだけどなぁ」
「…?」
「俺の知ってる限り、悠って格好つけなんだよね」
「へ?」
「いつも自信満々で、挑んでくる相手には返り討ちにするし、それが態度だけじゃなくて仕事の成果としても表れてるから周りも一目置くし」
「??」
いきなり、何の話…?
話が分からず首を傾げる私に、その目は細められる。
「そんな中で、同期や後輩含めて悠にぶつかるのは奥谷さんだけ」
「……」
「言いたいこと言って遠慮なくぶつかって、気持ちいいくらい仕事に励んで…そんな奥谷さんの前での悠は、いつも素だよ」
「素…?」
「仕事のことではもちろん、何かあれば必死になったり気にかけたり…誰の前でも見せない顔をするんだ。格好つける余裕もないくらいにね」
彼が、私だけに見せてくれる顔
怒った顔、真っ直ぐに見つめる顔、優しい笑顔
全部全部
私にだけ見せてくれている?
そうだったなら、嬉しいな
嬉しくて、嬉しくて



