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「……」
上司たちのタクシーを降り、一人歩く駅前の通り。金曜日の夜ということもあり街には酔っ払い上機嫌のサラリーマンたちが行き交う。
家にまっすぐ帰る気にはなれない。けれど特にいく宛もなく、何となくフラフラと街を歩いているのだった。
今頃、真崎さんはどうしてるのかな
もしかしてあのまま久保さんと…
(…って、何も言えなかった自分の自業自得)
考えては沈む気持ちに、深い溜息をひとつこぼした。
かおりは言ってた。伝えないで終わるなんて、私らしくないって。
自分でもわかってる。仕事のことでも普段の会話でも、私は溜め込むのは嫌だからいつも何でも言う方。
だけど恋愛になるとどうしてか、ここまで臆病になってしまう自分。
(言えない気持ちはしこりを残すだけ、か…)
そうしてまた、臆病になっていくのかな



