「それにしても、お前会議中堂々としててよかったなぁ」
「本当ですか?」
「あぁ、それまで寝てたとは思えない意見の述べっぷりだったぞ」
「だから寝てはいませんって!」
「いやぁ、さすが真崎が期待してるだけのことはあるなー。あいつの人を見る目はやっぱりすごい」
「真崎さん…?」
会話の中に出てきた思わぬ一言に、私は動き回る足を止めその上司の隣へと座る。
「前からよく『第二商品部の奥谷って奴がー…』ってお前のことを推してたんだよ。前の第二のリーダーが退社して新しいリーダーを決めるってなった時も、まぁそこそこ奥谷で話は通ってたんだがそこで更に推してたのも真崎でな」
『第二商品部の新しいリーダーに奥谷か…まぁ確かに勢いはあるし意欲的だが、まだ20代だろう?』
『前リーダーの谷地は確か40代…部署には30代もいるし、そんな若いのでまとめられるのか?』
『大丈夫ですよ。奥谷ならまとめるのも引っ張るのも得意だし、根性もあるからちょっとやそっとじゃ挫けないですしね』
『だが女同士の世界は俺たちが思うよりもっと大変で…』
『いざというときは、俺が面倒見ます。責任も俺が取ります』
『まぁ、お前がそこまで言うなら…』
『…ありがとうございます』



