「こうして見ると、うちの会社って沢山商品あるんですね」

「まぁな。ブランドも俺たちのセブンスヘヴンだけじゃない。ミセス向けの『グロッシー』から若者向けの『プラスバニラ』まであるし、それ以外にも化粧水やクリームだけで十数種類…」

「三村さんたちはそれも全部把握してるんですか?」

「はい。どのお客様にも色んな提案が出来るように、当社の商品は全て把握してますよ」

「へぇー…すごい」

「でもうちの商品は機能性が高いですからね。商品を勧める際にも、すごくやりやすいんです」



華はそうにこにこと話しては、ちょっとすみません、と売り場に来た客の元へと向かうべくその場を離れた。



「…すごいですねぇ、見てるだけで勉強になります」

「あぁ。客の反応、売り場での商品の存在感…オフィスにいるだけじゃわからないことが、店舗にはごまんと広がってるからな」

「……」



感心しながらその目は、少し離れた位置の華の接客をじっと見つめる。そしてポケットから取り出した小さなメモ帳にすらすらとメモを始めた。



(…吸収してるな)



見た目でわかる、その仕事への熱心さ

そういうひた向きさがまた嫌いじゃないと思う