「そういえば…奥谷に提案があったんだ」 「提案?」 「お見合い、してみないか?」 「…はい?」 お見合い、? 「聞けばお前、あれ以来彼氏の一人もいないそうじゃないか」 「はぁ、」 「もうあれから二年も経つことだし…そろそろ新しい相手と結婚を考えてみてもいいんじゃないのか?」 「……」 あー…要するに、そういうこと? いい加減、引きずってないで進めって? (…何なの、皆して) 人の気持ちも知らないで。 ふつふつと湧き上がる苛立ちに、マスクで隠した自分の顔が強張っていくのが分かる。