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「……」
ビュウッと冬の風が吹く中、建物の屋上で私は柵に寄りかかり、街を見下ろしながら買ってきたサンドイッチを一人もぐもぐと食べる。
(いい景色…寒いけど)
へこんで、泣いて…こんな時でもお腹は空くのだから不思議。
逃げるようにやってきた会社の屋上。そこはいつも人のいない穴場で、一人になりたい時やかおりと二人きりで話をする時…そんな時にやってくる場所だ。
(けど、泣くと少し違うなぁ…)
泣けば多少はすっきりすることは分かってる。だけど日頃それすらも出来ない私は、どこまで意地っ張りなのか…
しかも真崎さんの前で泣いたりしちゃって…次どんな顔で彼に会えばいいのやら。
「…はぁ、」
こぼれた溜息にサンドイッチの最後の一口をぱくりと食べて、お茶で喉に流し込んだ。



