「悠のことだから、また奥谷さんの触れられたくないような所に触れちゃったんじゃないの？」
「触れられたくないような所…」
「正面から堂々とぶつかって向き合おうとするのは悠のいい所なんだけどねぇ」
「……」
そう、だ
俺はただ、あの泣きそうな顔の理由を知りたくて
『何でもないですよ』
下手くそな笑顔で隠そうとした
その心の奥のものを、知りたかっただけ
(…言われてみれば、無神経だったか)
自分の発言を思い出しては、反省するように髪をかいた。
「でも奥谷さんって、何か複雑そうな子だよね」
「…？」
「前もほら、一生一人で生きるなんて言ってたじゃない？だから過去に何か嫌なことでもあったのかなって」
「……」
