「だってもう12月だし…式まで一ヶ月切ってるよ!?」
「うん、そうなんだけどさ…」
「真崎さんや和泉さんは招待したんでしょ?それで奥谷さんだけなしはまずいでしょ」
「わかってるんだけど、ほら…奥谷さんには、言いづらくて」
「…、」
言いづらくて、?
「あー、奥谷さんにはねぇ…確かに言いづらいよ」
「もう何年も前とはいえまだ引きずってるだろうし可哀想だよね」
「……」
あぁ、そうだよね
私に結婚式やります、なんて言いづらいよね
やっぱり、うん
皆そう思ってる
『可哀想』
分かってたけど、その言葉にまた胸がズキリと痛くなる。
「…、」
その痛みを堪えるように、握った拳。
(…大丈夫、)
心の中に言い聞かせ、一つ大きく息を吸ってドアをガチャッと開けた。



