太陽の暖かい陽射し。

ピンクの花びらをまとった木々。


季節は春。



今日は『入学式』。


私__守口 明奈(モリグチ アキナ)が、

『高校生』になる日です。



「アキ、緊張しすぎじゃない?」



私が今日から通う高校に向かう途中の満員電車の中、

私の友達__相沢 夏穂(アイザワ ナツホ)が
私の顔を覗きこむように言った。


私は顔を横に振って、

「そんなことないよ」

と、夏穂に余裕の笑顔を見せる。



……実際は夏穂の言う通り、
緊張でガチガチなのだけれど。


今朝から。

いや、1週間くらい前から。

いやいや、1ヵ月くらい前から。


私の胸はドキドキと高鳴りっぱなし。


期待のドキドキと、

不安のドキドキ。


その2つのドキドキが複雑に混ざりあって、
私の動悸を余計に激しくさせる。



夏穂にばれないように、
ふぅ……と小さく息を吐いた。


そのとき__



『○○駅ー、○○駅ー』



次の停車駅を知らせる車内アナウンスが流れた。



「降りなくちゃね」



夏穂の言葉に、
ドキッと、
より一層動悸が激しくなった。