あぁ、またここに来てしまった。
彼と過ごした、
最後の場所、最後の想い出。
あの日、彼が口にした言葉を、
一文字、一文字、
噛み締めるように、
ゆっくりと口を動かした。
「……絶対、帰って来るから」
けれど、私の前に彼はいない。
「……泣くな」
私はあの日以来、泣いてないよ。
__『絶対帰って来るから。
泣くな!』
そう言った彼は、笑ってた。
でも……
時々、すごく心配になる。
彼は、
あの頃と同じ笑顔で笑えているだろうか。
彼は、
泣いてないだろうか。
目を閉じて思い出すのは、
今でも色褪せず、
鮮明に残っている彼との想い出。
「……っ」
やっぱり瞼の裏に広がるのは、
想い出の中の、
彼の笑顔ばかり__…。