一人よりふたりで。

いつも一人ぼっちだった。
だから優しくする方法がわからないんだ。

春の優しい日差しが、アトリエの窓から差し込んで、
寝不足だった俺のまぶたをくすぐる。

パリに留学してから1か月。

もともと小さい頃は父親の仕事の関係で海外で生活していたし、
祖母に連れられてよくパリには来ていたから戸惑いはなかった。

通っているのは学園の姉妹校の一つ。
世界中から優秀なデザイナーの卵達が集まっていて、
恐ろしいほどめまぐるしい毎日を送っている。

でも、寝不足気味なのはそのせいじゃない。
…原因はわかってるんだ。

窓から射す日差しが、オレンジ色に染まっている。
どうやら、そのまま寝てしまっていたらしい。

頭をくすぐるようになでる手がうっとうしい。
「何すんだよ」

目を覚まして、手をつかむと、
真っ赤な顔をしたリス子と目があった。

「ご、ゴメンね。こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうとおもって…」