ベッドから身を起こし、テーブルの上のペットボトルに手を伸ばした。

母さんが買ってくれたもの。

だから、大切に飲まなきゃいけない。

……母さんはもう、この世にはいないから。

これは母さんが買ってくれた最後のものだから。

昨日の夜、母さんは俺の元へと来てくれた。それで買ってくれたのがこのペットボトルだ。

俺の大好きなお茶を、わざわざ買いに来てくれて、その帰りに死んだ。

そのことは息子の俺の耳にも入った。

唯一の、家族だったのに。母さんは死んでしまった。

俺にはもう、大切な人がいない。


「クソッ……!!」


思わず叫んでしまった。