再び二人きりにされた個室で、俺はため息をついた。
まんまと奴にやられたんだ、俺は。
ああ、苛々する。
目の前で今にも泣きそうな顔をしてる彼女も、電話のふりをして外に出ていったあいつも、馬鹿すぎて話にならない。
「ねえ、雅は知ってた?和泉の、彼女のこと」
「知らねー」
「そう、だよね」
そう言って俯いた。
あからさまに落ち込んでんじゃねーよ。
「・・・なあ、」
「うん」
「あいつのこと、そんな好き?」
バレてないとでも思ったのか、彼女は再び動揺し始める。
まったく、忙しいやつだ。
それに、酒が入ってるからリアクションもいつもより派手になって、余計に鬱陶しい。
「いつから、気付いてたの?」
「ずーーーっと前から」
「ずーっとっていつだよ・・・」
「なあ、俺わかんねーんだけど、そんなにあいつがいいわけ?」
俺もあいつと同じように、顔を覗き込むのに、彼女は微塵も反応しない。
そりゃ、分かってるけどさ。
なんかむかつく。
あいつだって、あんな嘘ついて。
俺に謙遜してるみたいじゃねーか。
「なあ、そんな悲しい顔すんならさ、もうより戻せばいいじゃん、俺たち」

