「お兄ちゃん。」

「芽唯。おかえり。どうした?」

お兄ちゃん。ごめんね。

だけど、お兄ちゃんを安心させるために嘘つくね。

許してね、お兄ちゃん。

ごめんなさい。

「私、彼氏できたよ。」

「えっ。」

「同じバスケ部なの。
今までも何度か家まで送ってくれたりしてくれてたの。」

「…そうか。よかったな。
今度そのまま家でご飯食べてもらって。」

「うん!言っとくね!」

やっぱり、お兄ちゃんはどこか心配そうな顔をしている。

それは先生のことだよね。

お兄ちゃん、私もう大丈夫だから。

先生のことは、もう、忘れるよ。