翌朝、目をさますと目の前には薄汚い男がいた。
「だ…だれ?」
泥棒か?焦っても誰も助けてはくれない。

薄汚い男は僕を、落ち着かせよう手の平を向けている。

「まぁまぁ。そう慌てるな。別にとって食ったりはしない。」

そう言われても、ここは僕の家だし鍵だってかけたはずなのに。
僕はもう言葉が出なかった。何を言えばいいのかわからなかった。
その様子を察したのか薄汚い男は口を開いた。
「ここの鍵、壊れてるんだ。鍵をかけていても強く引けば開いてしまう。」

わけがわからなかった。そんなものちゃんと整備してから客に売るだろう。
信じられないという顔をしている僕に、薄汚い男はホラっとやって見せた。
…確かに開いた。

「まぁそういうわけだから。」
どういうわけだ?鍵を変えてもらわなければ。

「俺はこのアパートを仕切っているものだ。といっても住民は俺と君ともう一人。合計3人だけだ。楽しくやろうじゃないか。」

わけがわからない。不法侵入しておいて何をいってるんだコイツは。