荷物をまとめ電車を待っていると、向かいのホームに何故か彼女がいた。
どうしたんだろう?

幸せそうな顔はしていない。

じっと見つめる僕の視線に気付いたのか、ハッと慌てたようにホームから小走りで逃げていく。

僕を避けている?

いや、それだけじゃないような気がした。

まさかまたあのグループに?

嫌な予感が過ぎる。

「待って!」

ホームから離れていく彼女を僕は追い掛けた。荷物を捨てて反対側のホームに辿り着くにはそんなに時間がかからなかった。

腕を掴み、顔をみた。

「どうしたんだ?」

「…痛い」

手に力が入り過ぎて腕が痛かったようだ。

「あ…ごめん。」

腕をゆっくりと離し、もう一度出来るだけ優しい口調できいた。

「どうしたんだ?」

唇を噛み締める彼女。
明らかになにかを隠している。
「…なんでもないよ。」