「今までありがとう。僕のせいで巻き込んでしまって…怖い思いまでさせて…ごめん。」

わんわん泣く彼女を、僕は慰めることなんて出来ない。

「なんでそんな事言うの。私のこと好きなら一緒にいてよ。もしあなたのせいで巻き込まれたら、また助けてよ。…だから一緒にいようよ。」

ありがとう。本当にありがとう。だけど、その優しさが僕には辛い。

「…だけど…だけど。もう好きじゃなくなったんだ。だからごめん。」

わかりやすい嘘をついた。多分彼女も気付いてる。

彼女は泣き続けている。僕も涙を堪えている。

「それじゃ、僕は戻るよ。」

「…うん。」

扉を開け、部屋を出ようとした時だった。
彼女が僕を呼び止めた。
「待って!…私は……私はあなたが大好きだよ。ずっと待ってるから。嫌われてもずっと待ってるから。」

僕は振り向くことすらせず、部屋をでた。

病室に戻り、一人で泣いた。

さようなら。
さようなら。僕の初恋。