「お互い怖い目にあったねぇ。あ!私はもう元気だから心配しないでね。退院したらさ!また缶ケリでもしようよ。」

明るい彼女。一見いつも通りに見えるけど、無理をしているんではないだろうか。

「うん。」

「…あ!きいてよ。私が入院したっていうのに誰もお見舞いに来てくれないんだよ?ひどいよね。私がいなくなったことすら気付いてないんじゃないかしら。」
笑っているけど、本当は泣きたいはずじゃ…
「きいてる?」
「あ!ごめん。聞いてるよ。」
「そかそか。ならいいけど。」
そう言うと拗ねたようにプイっと窓のほうを向いてしまった。

とりあえずは元気になったんだろう。よかった。彼女の明るさを失いたくないから、もう僕は彼女の元にはいられない。

「今日は話があってきたんだ。」

なぁに?と言うような顔で僕を見ている。

「僕は銀行強盗をしたんだ。退院したらすぐに警察のところにいかなければならない。だから…もう会えないんだ。ごめん。だけど、最後に僕の気持ちを伝えたくて…
一目あったときからずっと君のことが好きでした。初めて人を好きになって…こんなにも楽しい時間なんてなかったんだ。ありがとう。もう会えないけどどうか幸せになってください。」

彼女は泣き出してしまった。
「待ってよ。もう会えないって何?警察にいくなら私はずっと待ってるから…そんなこと言わないでよ。
私もあなたが…好きなんだよ。だから最後なんて…」