看護師の顔が優しくなった。
「安心してください。彼女は元気です。怪我も順調に治っていますし、精神面もすぐによくなりそうですよ。ですからあなたは自分の怪我を治してください。」
順調か…そうだといいんだけど。
「わかりました。でも、少ししたら彼女の元へ行かせてください。」
「はい。あと一週間もしたら車椅子で移動できると思います。」

「ありがとうございます。」

病院での食事は美味くないときいたことがある。だけどなんだかすごくご馳走のように感じた。

一週間がとてつもなく長い。

入院してから3日目の朝。目をあけるとそこには知らない人がいた。

「どちらさまで…」

「警察署のものです。あなたにいくつか聞きたいことがあって来ました。」
心臓がバクバクする。銀行強盗をしたことがばれたのだろうか。

「…はい」

「4日ほど前あなたはどちらにいられましたか?いやですね、実は最近、港にいたグループを捕まえたんですが、あなたがそのグループと関わりがあるのではないかと思いまして。」
警察の目は冷たく僕の胸に刺さっていた。

「…」
「返事をしてもらえないということは関わりがあると思っていいんでしょうか。」
「…」

「何も答えてもらえないようなのでまた明日来るとします。おからだをお大事に。」
軽く会釈をして警察は帰っていった。

どうすれば…ここで奴らのことを話せばきっと殺される…
でも捕まえたって言っていた。だけどそれが全員だという保証はないんだ。
何も言わないほうがいいんだろうか。