目がさめたのは夜だった。
白い天井にベッドを囲む水色のカーテン。
薬品のにおい。

よかった。僕は生きている。…彼女は!?

点滴を外し、暗い廊下を歩き回り彼女の部屋を探した。

どこにもいない。

渋々部屋に戻り朝を待った。看護師にきこうと思ったからだ。

朝が来るまで長かった。一生、朝が来ないんじゃないかと思うほどに。

僕の様子を見に来た看護師に声をかけた。
「あの、僕と一緒にきたはずの女性はどこに?」

辛そうな表情の看護師。「えと…ですね。言いにくいんですが…。」

「もったえぶらずに言ってください!」
ついつい口調があらくなる。

「わかりました…今、精神科にいます。外傷はあなたのほうがひどいんですが、彼女は心に病いをもってしまったようです。」

精神科…行かなければ!バッと起き上がったとき両肩を看護師に押さえ付けられた。

「行ってはダメです。あなたも重傷患者ですから。点滴をはずすことも許しません。」

「でも…」

「でもじゃないです。わかってください。」