「さぁ帰れ。もうお前たちに興味はない。ただこのことを警察に言えば…撃たれるのは足じゃないと思いな。」

悔しい。悔しい。よくも彼女を…。


そんなことを言っている場合じゃない。
早く病院に行かなければ。

人通りの多い道で血まみれの男が、ぐったりした女性を背負い歩いている。
あやしいのはわかってる。だけど警察よ、彼女を病院に連れていくまでは待ってくれ。

サイレンがきこえる。後ろから徐々に近づいているのがわかる。

「止まりなさい。」

スピーカーから聞こえにくい声。

すぐに僕を追い抜き、パトカーから警察が降りてくる。

「どうしたんだ。二人ともパトカーに乗りなさい。病院に連れていく。」
よかった。早く彼女を病院に…

安心したのか眠くなってきた。
「早く彼女を病院へ…」
僕はそこで気を失った。