足が痛い…あのやろう両足を撃ちやがって。

「おい。忘れ物だ。」

港を出るとき男が僕を呼び止めた。
渡されたものは拳銃だった。
馬鹿にしたように笑いが腹立たしい。

くそっ!でも今の俺にはこれが必要なんだ。

この銃でこいつを撃って彼女を助けにいけばいいんだ。

いや…だめだ。

ここでそんなことをしても、他の男たちの拳銃に囲まれて殺されるだけ。
それだけは出来ない。彼女にまで命の危険が加わる。

気がつけば銀行の前まで来ていた。

拳銃を握りしめ、自動扉の前にたった。

ゆっくりと扉が開く。

「金を出せ!1000万だ!早くしろ!」

怯える店員。泣き出す子供。

許してくれ。必ず働いて返すから…

今は彼女の命だけを助けたいんだ。

「はやく!」

焦る店員。

誰かが呼んだのかパトカーの音がする。

やばい。早く逃げなければ。
かばんに入った現金を抱え一目散に走った。

足が痛い。体力も限界だ。

くそ!捕まるか!彼女を助けるまでは…