落ち込んで寝ていると、ドアをノックする音がした。

出前なんて頼んでないのに誰が来るんだ。

ドアを開けるとそこには、真っ黒な服装にサングラスをかけた“いかにも”な男がいた。

声が裏返るほどびっくりした。
「な…なんでしょう?」
「おまえの女を預かった。返してほしければここへこい。」


そういうと男は紙切れを突き付け、立ち去った。

…僕の女?
まさか彼女が…?

僕に関わりがある人なんて…ましてや女性なんて彼女しかいない。

間違いない。

だけど何のために?


紙には
“金を一億円用意したら、港にある倉庫へ来い。来なければこの女は港に沈む。警察に言えばおまえも沈む。3時間以内に来い。”
と書いてある。

一億円?そんな大金あるわけがない。

部屋中探しまわり通帳をいくつか見付けたが、それでも足りない。

どうすれば…

時間だけが過ぎて行った。