僕は、あまりに未練がましい歌を歌った。

だけど、それが僕の気持ち。
幸せになってほしいとは思っていても。

やっぱり僕が幸せにしたかった。

それが出来なかったから離れてしまったのに、他の男と幸せそうな彼女を憎んでしまう僕自信が嫌になる。


彼女は涙を浮かべながらどこかへ消えてしまった。
もう会うことはない。

さようなら。

何度言ったかわからないさようなら。

もう彼女は幸せなんだ。それでいいじゃないか。
それで…。

もう歌わないと決めた僕は、ギターをそこに置いたまま歩き始めた。

帰りに、堤防の上に寄ると寂しさとか色々な感情が僕の心を暗くした。

それでも陽のくれかけた空はオレンジ色で眩しくて…。

空を見上げながら、タバコをふかした。

タバコの煙が、消えることなく高く高く、空の彼方へと飛んで行くのを僕はただただ見ていた。

君のいない街で僕は生きていくよ。



―おわり―