歌手か…。なれるものならなってみたい。

出来るなら、たくさん傷付けてしまった彼女へ僕の気持ちを伝えたい。

もう会えない彼女へ…。

それでもやはり、プロダクションに勤めているという男を信頼していいのかわからない。

三日三晩寝ずに考えた。

……………………

ああ、やっぱり僕は歌手になりたい。

歌っているとき、何かが自分の中で弾けたんだ。

僕は歌い手になるんだ。
プロになれなくたっていい。

いろいろあって考えることが出来なかったが、僕なりに彼女への償いがしたい。

それは僕が元気であることを伝えること。夢に向かって頑張ってるって伝えること。 償いなんてかっこよく言えるものじゃないかもしれない。

でも、これしか僕には思い浮かばない。

あれからプロダクションの男はずっとあの時間になるとあの場所にいる。
きっかけを与えてくれたことには感謝しているが、悪いけど自分のやりたいようにやらせてもらう。